第27話|「させてください」と言われた日

生まれてからのこと

次女をNICUに送り出し、数時間後。

私たちのところへ、
NICUの先生たちが来た。

3人くらいだったと思う。

助産師さんも2人。

その表情を見た瞬間、

「何かあったんだ」

そう思った。

次女の状態が、
さらに悪くなっていた。

肺の状態が良くない。

先生から説明を受けた。

早く生まれた赤ちゃんには起こることがあるということだった。

そして、

「気管挿管が必要です」

と言われた。

私は、頭が真っ白になった。

気管挿管・・・?

生まれてから、
まだ数時間しか経っていない。

その小さな身体に、
これから管を入れる。

怖かった。

先生は私たちに、
どうするかを確認してきた。

夫と顔を見合わせた。

私たちは、

「それは必ずしないといけないのですか?」

と答えた。

それは、

「もう苦しい治療はさせたくない」

という気持ちもあったし、

「この子にこれ以上つらい思いをさせたくない」

という気持ちもあった。

すると先生が、

「すみません、言い方を変えます」

と少し間を置いて、

「させてください」

と言った。

その言葉を聞いた。

私は、何も言えなかった。

さっきまで、
この先生たちに次女を助けてもらいたいと思っていたはずなのに。

その瞬間だけは、
なぜか先生たちが敵のように見えた。

今思えば、
もちろん先生たちは次女を助けようとしてくれていた。

でも、あのときの私は、
そんなふうに考える余裕なんてなかった。

怖かった。

ただただ怖かった。

そして、私たちは挿管をお願いすることにした。

肺高血圧の可能性もあるとのことだった。

先生たちが次女のところへ急いで戻っていく。

私はその背中を見ながら、
ずっと思っていた。

「ごめんね」

「本当にごめんね」

生まれてからここまで、
私たちが決めたことは、
次女を苦しませてしまったんじゃないか。

特に、生まれてから7時まで。

私たちは、
次女と一緒に過ごすことを選んだ。

それが正しかったのか。

あの時間がなかったら、
もっと早く治療してもらえていたら。

そんなことばかり考えてしまった。

「私たちのわがままだったのかな」

「ずっと苦しかったよね」

後悔が、
どんどん押し寄せてきた。

そして同時に、

「このままいなくなってしまうかもしれない」

そんな現実も、
初めてはっきりと感じた。

もしかしたら、
この苦しみが終わるのかもしれない。

そう思ってしまう自分もいた。

でも、

「終わってほしい」

と思ったわけじゃない。

次女を失うかもしれない。

その痛みから逃げたかっただけなのかもしれない。

頭の中がぐちゃぐちゃだった。

私は泣いた。

泣いて、泣いて、
ずっと泣いていた。

夫もそばにいた。

私たちは、ただ次女の無事を祈ることしかできなかった。

そして、私自身の身体も、
まだ出産から回復していなかった。

出血がなかなか止まらない。

後陣痛も強くて、
薬を処方してもらった。

身体はボロボロだった。

でも、そんなことはどうでもよかった。

頭の中にあるのは、
次女のことだけ。

さっきまで一緒にいたのに。

今はNICUで、
小さな身体で頑張っている。

私は何もできない。

ただ、

「頑張って」

そう願うしかなかった。

生まれてから、
まだ半日も経っていない。

なのに私たちは、
もう「生きる」ということの重さを、
目の前に突きつけられていた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました