第25話|はじめまして。がんばったね。

生まれてからのこと

午前1時半頃。

NICUの先生も到着して、
いよいよ出産のときが近づいていた。

私は分娩台の上で、陣痛に合わせて呼吸をしていた。

すると、ここでちょっとしたトラブルが起きた。

分娩台の足を開く部分が、うまく動かない。

「えっ……?」

一瞬、周りも慌ただしくなった。

いよいよというところでの出来事に、
私も少しパニックになった。

でも、周りの先生たちがすぐに対応してくれた。

そして、分娩台が直ったところで、

人工的に破水することになった。

バシャッ。

大量の羊水が流れ出た。

「いよいよだ……」

そう思った。

でも、私は不思議なくらい、
「いきみたい」という感覚がなかった。

「いきんでください」

と言われても、

「え……どこに力を入れればいいの?」

という感じ。

そもそも、いきみたい感覚がない。

それでも、言われた通りに力を入れる。

一回。

二回。

何度も何度も。

たぶん、10回くらいはいきんだと思う。

でも、なかなかうまく力が入らない。

「もっとここに力を入れるのかな?」

「でも、どこ……?」

そんなことを考えながら、必死だった。

頭が出てくるときは、

「頭がはまってる……」

そんな感覚があった。

皮膚が伸びるような痛みもあった。

それでも、

「もう少し」

そう思って力を入れた。

そして――

午前1時43分。

次女が生まれた。

「生まれた……」

その瞬間、
次女はすぐに保育器へ運ばれていった。

酸素の状態が良くなかったため、
すぐに酸素を投与してもらった。

呼吸も苦しそうだった。

顔も紫色に見えた。

私は遠くから、
次女の姿を見ていた。

小さな身体。

一生懸命に生きようとしている姿。

そして、計測などを終えて、

白いタオルに包まれ、

私は初めての抱っこをさせてもらった。

顔色は暗い紫色だった。

元気に産んであげられなかった

辛い思いをさせてしまった

心の底からあなたの誕生を喜べなかった

そんな罪悪感から、涙が止まらなかった。

でも、顔を見た瞬間。

「あ……」

と思った。

鼻が、

長女にそっくりだった。

こんな状況なのに、

「可愛い」

と思えた。

やっと会えた。

ずっとお腹の中にいた、
私たちの赤ちゃん。

頑張って生まれてきてくれた。

出産という大仕事が終わり、

少し安心できた。

私の出血はかなり多かった。

1000mlほど。

ただ、羊水なども含まれているとのことで、
その後の状態を見ながら経過をみることになった。

大きな裂傷はなく、
縫う必要もなかった。

小さく切れたようなところがあったくらいだった。

でも、私よりも夫のほうが、
明らかに辛そうだった。

冷たい汗をかいて、
顔色も悪い。

青白いというか、
少し青く見えるくらい。

いかにも体調が悪そうだった。

目の前で命が生まれた喜び。

そして、次女の苦しそうな姿。

いろんな感情が一気に押し寄せているようだった。

私たちは、
とうとう4人家族になった。


※この記事は個人の体験をもとに書いています。

医療上の判断については、必ず主治医・医療機関にご相談ください。

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