第24話|静かに進んでいた

妊娠中のこと

病院に着いたときは、

「まだまだ痛みが弱いし、時間がかかるのかな」

そう思っていた。

子宮口は3センチ。

先生からも、できれば担当医がいる昼間に産めたらいいと言われていた。

だから私は、
このままゆっくり陣痛が進んで、
朝になってから生まれるのかなと思っていた。

夜中の0時頃。

長女を実家に預けた夫が、

立ち会いのために来てくれた。

陣痛は少しずつ強くなっていたけれど、
まだ夫と話ができるくらいだった。

「痛い?」

「うん、痛いけど……まだ大丈夫」

そんな感じだったと思う。

ところが、日付が変わった0時45分頃。

助産師さんが、

「静かに進んでいるって事もあるからね」

と診察してくれた。

そして、少し驚いたような表情をした。

「えっ……7〜8センチ開いてますよ!」

え?

さっき3センチだったのに?

自分ではそこまで急激に変わった感覚がなかった。

静かに、静かに。

でも確実に、お産は進んでいた。

そして午前1時頃。

私は分娩台へ移動することになった。

そして診察。

「もう全開です」

また驚いた。

え?

もう?

自分では、そんなに進んでいるとは思っていなかった。

産婦人科の先生から、

「本当に痛くないんですか?」

と聞かれた。

もちろん痛い。

でも、まだ全然耐えられる。

そこから少しずつ陣痛が強くなっていった。

私は、しっかり呼吸することだけを考えていた。

夫が手を握ってくれていた。

ぎゅっと握り返す。

お腹も痛い。

腰も痛い。

さっきまでとは、明らかに違う。

それでも、

「もうすぐ赤ちゃんに会える」

という気持ちが、どこかにあった。

先生から、

「破水したら、そこから数分で生まれる可能性があります」

と言われた。

だから、赤ちゃんを受け入れるためのNICUの先生が来るのを待つことになった。

私は分娩台の上で、
ただ呼吸を繰り返していた。

午前1時半頃。

NICUの先生が到着した。

分娩室には、

産婦人科の先生が3人。

NICUの先生が2人

そして助産師さんが5人くらい。

気づけば、私の周りにはたくさんの医療者がいた。

これから生まれてくる赤ちゃんのために、
たくさんの人が準備をしてくれていた。

その光景を見て、

「ああ、本当にもうすぐなんだ」

と、少しずつ実感していった。

周りには、たくさんの人。

夫の手。

強くなっていく陣痛。

そして、もうすぐ会えるはずの赤ちゃん。

いよいよだった。

ここまで、お腹の中で頑張ってきた赤ちゃん。

もうすぐ、
私たちの目の前に出てくる。


※この記事は個人の体験をもとに書いています。

医療上の判断については、必ず主治医・医療機関にご相談ください。

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