第6話|「もう未来は選べない」中絶の期限が過ぎた。

妊娠中のこと

年が明けた。

そして、中絶できる期限が過ぎました。

もう未来は選べない。

そう思いました。

まだ、赤ちゃんのことは何も分かっていません。

脳室が大きい。

それだけ。

それが、この先どんな意味を持つのか。

どんな障害につながるのか。

それとも、何もないのか。

私はまだ何も知らない。

でも、もう期限だけは過ぎてしまった。

あの日からずっと、

「早く大学病院で診てもらいたい」

そう思っていました。

でも、受診日は1月9日。

その日まで、私は待つしかありませんでした。

私は家族と一緒に帰省しました。

本当なら、いつもと同じように過ごすはずのお正月。

家族と話して、笑って、ご飯を食べて。

でも私の頭の中は、ずっと赤ちゃんのことばかりでした。

「脳室が大きいって言われた」

「この先どうなるんだろう」

「もし障害があったら?」

「もう中絶の期限は過ぎた」

そんなことを考えながら、それでも私は何もなかったように過ごしていました。

家族には、できるだけ悟られないようにしていました。

笑って。

普通に話して。

普通のお正月を過ごしているふりをして。

でも心の中では、ずっと不安でした。

私は、この子を産むことになるのかもしれない。

でも、本当にそれでいいの?

もし重い障害があったら?

私たちに育てられる?

長女はどうなる?

家族の生活はどうなる?

いろんなことが頭の中をぐるぐる回っていました。

それでも、お腹の中にいる赤ちゃんは、何も知らずに動いている。

私は胎動を感じながら、

「大丈夫」

と心の中で声をかけていたと思います。

でも、その言葉は赤ちゃんに向けたものだったのか。

自分自身に向けたものだったのか。

今となっては分かりません。

そして私は、何も答えが出ないまま、帰省先でお正月を過ごしました。

誰にも言えない不安を抱えたまま。

笑顔の裏側で、ずっと泣きそうになりながら。

そして、数日後。

ようやく、大学病院を受診する日がやってきます。

この日、私は初めて、

「この子の脳には、何が起きているのか」

その答えを聞くことになります。


※この記事は個人の体験をもとに書いています。

医療上の判断については、必ず主治医・医療機関にご相談ください。

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