「これから、私はどうしたらいいんだろう」
車の中で泣きながら、途轍もなく大きな罪悪感を感じ、
私が家族の未来を壊してしまった。
ずっとそう思っていました。
そして次の診察では、
これからのことについて、先生と話をしました。
赤ちゃんの状態は、かなり厳しい。
それでも、お腹の中で生きている。
では、この先どうするのか。
私たちが希望していたのは、
できるだけ医療的な介入をせず、
赤ちゃんの自然な経過を見守ることでした。
でも、それは簡単なことではありませんでした。
先生から、分娩管理について説明を受けました。
たとえば、胎動が減った。
赤ちゃんの状態が悪くなった。
そういったことで受診した場合。
そのまま入院になり、
赤ちゃんを助けるために帝王切開をする。
それが「分娩管理」でした。
つまり、
分娩管理をするということは、赤ちゃんを助ける方向へ進むということ。
私たちが望んでいた方向とは、違っていました。
では、
私たちの希望に沿うためには、
どうすればいいのか。
先生から言われたのは、
妊婦健診と保険診療を交互に受けながら、
1週間に1回程度の診察のみを続ける。
という方法でした。
そして、
赤ちゃんの生きる力にすべて任せる。
そんな選択が、
本当にあるんだ。
私はその現実に、ただ圧倒されていました。
でも、先生たちは私たちの希望を否定しませんでした。
胎児水腫がさらに進行すれば、
赤ちゃんを助けるための帝王切開を避けられる可能性がある。
小児科の先生とも相談しながら、
私たちが望んでいる方向に進めるように考えてくれていました。
ただし、
ひとつだけ絶対に気をつけなければいけないことがありました。
胎児水腫が進行すると、
赤ちゃんだけではなく、
お母さんの身体にもむくみなどの症状が出ることがある。
(ミラー症候群と呼ばれているそうです。)
そのため、
私の身体に異変があれば、
すぐに受診する必要がありました。
赤ちゃんを待つ。
でも、
私自身の命も守らなければならない。
その両方を考えながら、
これからの時間を過ごすことになりました。
診察のあと、
助産師さんとお話をする時間がありました。
そこで助産師さんが、
私にこんなことを話してくれました。
自然な流れに任せて、
治療を望まずに赤ちゃんを見送るご家族も、
たくさんいらっしゃるということ。
そして、
「赤ちゃんに痛い思いをさせたくない」
そう思って、その選択をするご家族もいること。
私は、
自分たちが選ぼうとしていることは、
間違っているんじゃないか。
赤ちゃんを助けようとしていない私は、
母親としておかしいんじゃないか。
そんな気持ちをずっと抱えていました。
でも助産師さんは、
そんな私に、
「罪悪感を持たなくても大丈夫だよ」
と言ってくれました。
その言葉を聞いて、
少しだけ、
張りつめていたものが緩んだ気がしました。
私たちは、
赤ちゃんを諦めたかっただけじゃない。
痛い思いをさせたくなかった。
ずっと続くであろう苦しい治療を
たくさん受けさせたくなかった。
ただ、
この子が生きられる時間を、
できるだけ穏やかに過ごさせてあげたい。
その気持ちは、
間違いじゃないのかもしれない。
そう思わせてくれる言葉でした。
それでも。
病院を出てから、
私はまた考えていました。
この先、
いつまでお腹の中にいてくれるんだろう。
いつ、
その時が来るんだろう。
毎週の診察で、
今日も心臓が動いているのかを確認する。
そして、
いつか動かなくなる日を待つ。
そんな日々が、
これから始まる。
帰り道、
お腹に手を当てました。
まだ、この子は生きている。
まだ、動いている。
私はそれを感じながら、
「もう頑張らなくていいのに」
そんな自分勝手な願いで頭の中はいっぱいでした。
※この記事は個人の体験をもとに書いています。
医療上の判断については、必ず主治医・医療機関にご相談ください。



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