第15話|「私のせいだ」サイトメガロウイルスを検索し続けた日

妊娠中のこと

病院で、

「サイトメガロウイルスの可能性が非常に高い」

そう言われてから。

私は、サイトメガロウイルスについて調べ続けました。

長女を寝かしつけてから。

スマホを開いて、

検索して。

また別のページを開いて。

書いてある症状を、

ひとつひとつ確認していきました。

小頭症。

脳の異常。

胎児発育不全。

腹水。

いろいろな言葉が、

私の目に入ってきました。

そして、

調べれば調べるほど、

こう思ってしまいました。

「全部、この子に当てはまってる。」

まだ、

サイトメガロウイルスだと診断されたわけではありませんでした。

それなのに私は、

もう原因はこれなんだと、

決めつけていました。

この子がこうなった原因は、

サイトメガロウイルスなんだ。

そう思うと、

次に出てきたのは、

また同じ言葉でした。

「私のせいだ」

妊娠中、

何も知らなかった。

サイトメガロウイルスなんて、

ちゃんと気にしたこともなかった。

もし私がもっと知っていたら。

もし私がもっと気をつけていたら。

もし私が何かできていたら。

そんな「もし」が、

頭の中をぐるぐる回りました。

そして、

夫のことを考えました。

私と結婚して、

家族になって。

これから子どもたちと一緒に、

普通に暮らしていくはずだった未来。

それを、

私が壊してしまった。

そう思いました。

長女のことも考えました。

まだ小さな長女には、

何の責任もない。

それなのに、

妹のことで、

これからたくさん我慢することになるかもしれない。

家族みんなの人生を、

私が変えてしまった。

そう思っていました。

「誰のせいでもない」

夫や先生、沢山の人からそう言ってもらっていましたが、

その時の私は、

そんな言葉を受け入れられる状態ではありませんでした。

頭の中では、

何度も何度も、

同じことを考えていました。

「私のせいだ」

「私がちゃんとしていれば。」

「私がもっと気をつけていれば。」

「こんなことにはならなかったんじゃないか。」

答えのないことを、

ずっと考えていました。

サイトメガロウイルスについて調べれば調べるほど、

自分を責める材料を

自分で集めているようでした。

でも、

調べることをやめられませんでした。

知りたかった。

この子に何が起きているのか。

なぜ、

こんなことになったのか。

そして、

どうして私は、

この子を守れなかったのか。

そんなことばかり考えていました。

その頃の私は、

「原因が分かれば、

少しは気持ちが楽になる」

と思っていたのかもしれません。

でも実際には、

原因を探せば探すほど、

自分を責めてしまっていました。

そして、

まだ診断もされていない「サイトメガロウイルス」という言葉が、

私の中では、

いつの間にか、

「私がこの子をこうしてしまった理由」

になっていました。

本当は、

まだ何も分かっていなかったのに。

それでも私は、

自分を責めることしかできませんでした。

夜になっても、

スマホを手放せませんでした。

検索して、

読んで。

また検索して。

涙が出て。

それでもまた検索して。

眠れないまま、

時間だけが過ぎていきました。

そして、そのウイルスの写真を見ると

恐怖を感じ、動悸がするようになりました。

お腹の中では、

この子が生きている。

それなのに私は、

その命を喜ぶことすらできない。

そんな自分も、

また嫌になりました。

私は、

どうしてこんなことになったんだろう。

どうして、

この子なんだろう。

どうして、

私なんだろう。

答えは、

どこにもありませんでした。

ただ、

お腹の中の小さな命と、

それを抱えながら泣いている私。

その時間だけが、

静かに過ぎていきました。


※この記事は個人の体験をもとに書いています。

医療上の判断については、必ず主治医・医療機関にご相談ください。

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