第13話|「羊水検査は陰性」それでも、原因は見えてきた

妊娠中のこと

羊水検査をしてから、結果が出るまで。

私はずっと、あることを願っていました。

「染色体異常であってほしい」

そんなことを願ってしまう自分に、罪悪感を抱きながら。

それでも、

もし赤ちゃんにどうしようもない病気があって、
それが原因で生きることが難しいのなら。

私がこの子の未来を選んだわけじゃない。

そう思える気がしていました。

そして、結果を聞く日がやってきました。

先生から告げられた結果は、

「羊水検査は全て陰性でした」

一瞬、頭が真っ白になりました。

……陰性。

つまり、私が願っていた結果ではありませんでした。

でも、まだ終わりではありませんでした。

先生から、もうひとつ言われたことがあります。

それは、

「サイトメガロウイルスの可能性が非常に高い」

ということでした。

サイトメガロウイルス。

妊娠中に感染することで、赤ちゃんに影響が出ることがあるウイルス。

私はその言葉をいちばん恐れていました。

感染が原因ということは自分が原因ということだと決めつけていたから。

先生は、赤ちゃんの今の状態についても説明してくれました。

心臓に負荷がかかり、大きくなっていること。

そして、

心嚢液がたまっていること。

一方で、腹水は少し減っていました。

前回から、状態としては大きく変わっていない。

横ばい。

でも、

赤ちゃんの頭はかなり小さい。

そして先生から、

もしこのまま生まれてきたとしても、

「脳の構造上、1年も生きられない可能性が高い」

という話もありました。

私は、ただ聞いていました。

もう、何を聞いても驚けないような。

でも、心の奥ではずっと、

「どうして?」

が消えませんでした。

染色体異常ではなかった。

じゃあ、どうしてこの子はこんな状態なんだろう。

どうして、こんなに小さいんだろう。

どうして、こんなにたくさんの問題を抱えているんだろう。

そして、

サイトメガロウイルスの可能性が高い。

その言葉が、頭から離れませんでした。

診察が終わったあと、私はサイトメガロウイルスについて検索しました。

沢山の文献を読みました。

小頭症。

脳の異常。

胎児発育不全。

腹水。

いろいろな言葉が出てきました。

そして私は、

「原因はこれに違いない」

と思ってしまいました。

まだ、診断されたわけではありません。

それなのに。

検索すればするほど、

全部、この子に当てはまっている。

そう思えてきました。

サイトメガロウイルスなんだ。

この子がこうなった原因は、きっとこれなんだ。

そう思い込んでいました。

そして、その瞬間から。

今度は別のことが頭から離れなくなりました。

「私のせいだ」

私のせいで。

夫の人生を壊してしまった。

長女の人生まで、私が壊してしまった。

家族の未来を、

私が壊してしまった。

そう思って、どうしようもなくなりました。

病院を出て、車に乗りました。

夫が運転する車に揺られ、しばらくすると、

耐えられなくなりました。

涙が止まりませんでした。

声をあげて泣きました。

「私のせいだ」

何度も何度も、そう思いました。

まだ何も確定していないのに。

まだ、原因さえ分かっていないのに。

夫は誰のせいでもないと慰めてくれました。

でも、私は自分を責めて、責めて、

責め続けていました。

車の中で泣きながら。

この日からずっと、

家族の未来を壊してしまった罪悪感が消えることはありませんでした。


※この記事は個人の体験をもとに書いています。

医療上の判断については、必ず主治医・医療機関にご相談ください。

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