家に帰ってからも、頭の中は「脳室が大きい」という言葉でいっぱいでした。
先生からは「大学病院で診てもらってください」と言われた。
でも、受診できるのは年明け。
中絶できる期限は、もうすぐそこまで迫っている。
そして何より、私はどうしても理解できませんでした。
「緊急性がない」って、どういうこと?
私のお腹の中にいる赤ちゃんの脳に、異常があるかもしれない。
それなのに、今すぐ受診する必要はないと言われる。
どうして?
私は、クリニックでもらったエコーの動画を何度も見返しました。
すると、赤ちゃんの脳室の大きさを測っている場面を見つけました。
数字が映っている。
その数字を手がかりに、スマホで検索しました。
脳室の大きさについて書かれている文献を探したり、同じような経験をした人の体験談を読んだり。
とにかく、調べました。
調べても調べても、分からない。
専門的な言葉ばかりで、余計に不安になることもありました。
でも、一つだけどうしても引っかかっていたことがありました。
やっぱり、「緊急性がない」という言葉が理解できない。
私にとっては、何も分からないことこそが怖かった。
赤ちゃんに何が起きているのか。
生まれたあと、どうなるのか。
普通に産めるのか。
障害があるのか。
もし障害があるなら、どんな障害なのか。
何も分からないままなのに、時間だけが過ぎていく。
それなのに、「緊急性はない」。
先生は、エコーをしただけ。
所詮他人事なんだ。私たち家族の将来を考えてくれてなんていない。
そう強く思ってしまった。
もちろん、先生には先生の判断があったんだと思います。
でも当時の私は、そんなふうに冷静には考えられませんでした。
ただただ、不安でした。
そして、少しずつ医師に対する不信感が大きくなっていきました。
「ここで待っていて、本当にいいの?」
そう思うようになりました。
だったら、自分で探すしかない。
他に診てくれる病院はないのか。
今の私たちの状況を、きちんと見てくれる先生はいないのか。
私はまたスマホで病院を探し始めました。
そして、受診してみようと思える病院を見つけました。
行ってみよう。
もう、他の病院に行くしかない。
そう決めました。
でも、不思議なことに。
そんなに不安で、必死に調べているのに、心のどこかにはまだ自信がありました。
私の赤ちゃんだから、大丈夫。
きっと大丈夫。
脳室が大きいと言われただけ。
もしかしたら、何もないかもしれない。
そう思いたかったのかもしれません。
そんな中、ある投稿が目に入りました。
同じように、妊娠中に「脳室が大きい」と言われた人。
その人は、たくさん不安になりながらも出産を迎えていました。
そして、その赤ちゃんは――
脳室が大きかっただけで、何もなかった。
その投稿を見つけた瞬間、少しだけ心が軽くなりました。
「もしかしたら、うちもそうかもしれない。」
まだ、そう思っていました。
私はまだ知らなかった。
これから自分が、何度も「大丈夫」と「もしかしたら」を繰り返すことになるなんて。
そして翌日。
私は、別の病院へ向かうことになります。
※この記事は個人の体験をもとに書いています。
医療上の判断については、必ず主治医・医療機関にご相談ください。



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