第2話|「緊急性がない」その言葉がすべてを狂わせた

妊娠中のこと

家に帰ってからも、頭の中は「脳室が大きい」という言葉でいっぱいでした。

先生からは「大学病院で診てもらってください」と言われた。

でも、受診できるのは年明け。

中絶できる期限は、もうすぐそこまで迫っている。

そして何より、私はどうしても理解できませんでした。

「緊急性がない」って、どういうこと?

私のお腹の中にいる赤ちゃんの脳に、異常があるかもしれない。

それなのに、今すぐ受診する必要はないと言われる。

どうして?

私は、クリニックでもらったエコーの動画を何度も見返しました。

すると、赤ちゃんの脳室の大きさを測っている場面を見つけました。

数字が映っている。

その数字を手がかりに、スマホで検索しました。

脳室の大きさについて書かれている文献を探したり、同じような経験をした人の体験談を読んだり。

とにかく、調べました。

調べても調べても、分からない。

専門的な言葉ばかりで、余計に不安になることもありました。

でも、一つだけどうしても引っかかっていたことがありました。

やっぱり、「緊急性がない」という言葉が理解できない。

私にとっては、何も分からないことこそが怖かった。

赤ちゃんに何が起きているのか。

生まれたあと、どうなるのか。

普通に産めるのか。

障害があるのか。

もし障害があるなら、どんな障害なのか。

何も分からないままなのに、時間だけが過ぎていく。

それなのに、「緊急性はない」。

先生は、エコーをしただけ。

所詮他人事なんだ。私たち家族の将来を考えてくれてなんていない。

そう強く思ってしまった。

もちろん、先生には先生の判断があったんだと思います。

でも当時の私は、そんなふうに冷静には考えられませんでした。

ただただ、不安でした。

そして、少しずつ医師に対する不信感が大きくなっていきました。

「ここで待っていて、本当にいいの?」

そう思うようになりました。

だったら、自分で探すしかない。

他に診てくれる病院はないのか。

今の私たちの状況を、きちんと見てくれる先生はいないのか。

私はまたスマホで病院を探し始めました。

そして、受診してみようと思える病院を見つけました。

行ってみよう。

もう、他の病院に行くしかない。

そう決めました。

でも、不思議なことに。

そんなに不安で、必死に調べているのに、心のどこかにはまだ自信がありました。

私の赤ちゃんだから、大丈夫。

きっと大丈夫。

脳室が大きいと言われただけ。

もしかしたら、何もないかもしれない。

そう思いたかったのかもしれません。

そんな中、ある投稿が目に入りました。

同じように、妊娠中に「脳室が大きい」と言われた人。

その人は、たくさん不安になりながらも出産を迎えていました。

そして、その赤ちゃんは――

脳室が大きかっただけで、何もなかった。

その投稿を見つけた瞬間、少しだけ心が軽くなりました。

「もしかしたら、うちもそうかもしれない。」

まだ、そう思っていました。

私はまだ知らなかった。

これから自分が、何度も「大丈夫」と「もしかしたら」を繰り返すことになるなんて。

そして翌日。

私は、別の病院へ向かうことになります。


※この記事は個人の体験をもとに書いています。

医療上の判断については、必ず主治医・医療機関にご相談ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました