第7話|「何もありませんように」最後の希望を抱えて、大学病院へ

妊娠中のこと

ついに、大学病院を受診する日が来ました。

この日は、家族みんなで病院へ向かいました。

私の中には、まだ小さな期待が残っていました。

「何もありませんでした」

そう言ってもらえるんじゃないか。

ここまでいろいろなことを言われてきたけれど、
大学病院で診てもらえば、きっと分かる。

もしかしたら、今までのことが全部大丈夫だったと分かるかもしれない。

そんなことを、どこかで期待していました。

診てくださったのは、
とても優しい、ご年配の教授の先生でした。

まず先生は、
「脳室拡大とはどういうものなのか」
というところから説明してくれました。

本を開いて、

脳の中にある脳室という場所について。

そこが広くなると、どんなことが考えられるのか。

どんな病気の可能性があるのか。

図を見ながら、一つずつ説明してくれました。

その中には、
サイトメガロウイルス、染色体異常という言葉がありました。

でも、このときの私は、
その言葉を特別に気に留めることもなく、
ただ先生の説明を聞いていました。

今までインターネットで必死に調べていたことを、
先生が目の前で説明してくれている。

やっと、ちゃんと話を聞ける。

そう思いました。

でも同時に、

怖かった。

ここまで説明を聞いても、
私はまだ、

「でも、何もありませんでしたって言われるかもしれない」

そう思っていました。

そして、エコーが始まりました。

先生が画面を見ながら、
赤ちゃんの頭を確認していきます。

私は画面を見つめながら、
先生の言葉を待っていました。

すると、

先生は淡々と、
赤ちゃんの状態を話し始めました。

脳室のこと。

頭の中のこと。

一つひとつ、
症状を確認するように言葉にしていきます。

私は必死に聞いていました。

でも、

だんだん頭に入ってこなくなりました。

聞こえているのに、
理解できない。

先生の声は聞こえている。

旦那も隣にいる。

赤ちゃんは、お腹の中にいる。

なのに、

頭の中だけが真っ白になっていきました。

私はただ、
先生の言葉を聞くことしかできませんでした。

そして、このとき。

「何もありませんでした」

という言葉を、
私はまだ心のどこかで待っていたのだと思います。


※この記事は個人の体験をもとに書いています。

医療上の判断については、必ず主治医・医療機関にご相談ください。

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